今回は、外国人住民の通称名の記載について紹介します。
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通称名とは
通称名は、外国人が日本国内で生活するうえで広く通用している名称のことです。
通称名の法的効力
市区町村への届出の無い通称名では、法律行為を行うことはできません。
しかし、市区町村で通称名を住民票に記載することが適当と認められ、登録がされた場合のみ(1つに限られる)、登記や契約文書などの法的性格行為に使用することができます。
通称名への批判
通称名を悪用した、ケースが多く発生し、通称名への批判が高まっています。
例)通称名で架空口座を作り、マネーロンダリングに使用する。
通称名で携帯電話を契約し、振り込め詐欺に使用するなどです。
※これらの行為は犯罪行為ですので絶対にやめましょう。
通称名の記載が認められるケース
これは上記の理由から、かなり限られたものになっています。
それは、日本人との婚姻や養子縁組などによる場合です。
例)外国人Aが日本人Bと婚姻した場合
この場合、外国人Aは日本人Bの氏を用いた通称名を登録することができます。
ヨハン・セバスチャン・バッハ(外国人)と
住民 花子(日本人)
が婚姻した場合、「住民 セバスチャン」という通称名が認められる可能性が高いです。
上記のような、日本人との婚姻、養子縁組などによる場合以外の通称名記載はかなり難しいと思います。
ただし、判断は市区町村住民課(市民課、町民課、区民課など)になりますので相談してみる価値はあると思います。
届出方法
提出先
市区町村住民課(市民課、区民課、町民課など)
持ち物
通称名記載申出書
通称名を記載するための申請書ないしは申出書が市区町村窓口にあると思います。それに住民票に通称名が記載する必要がある理由などを記載します。
立証資料
住民基本台帳法施行令第30条の26に規定のある「当該呼称が居住関係の公証のために住民票に記載されることが必要であることを証するに足りる資料」です。
具体的には、
日本人との婚姻や養子縁組に基づいて通称名の記載を申出る場合は、その事実がわかる戸籍謄本(本籍地が提出先市区町村の場合は不用)
その他、実際に申出る通称名の記載のあるもの
勤務先の社員証、健康保険被保険者証、金融機関預金通帳、学生証、運転免許証、水道・ガス・電気料金請求書、アパート契約書、郵便物(通称名が宛名になっているもの)など
※どれを立証資料として適当と認めるかは、市区町村の判断になりますので申出前に必ず住民課に相談してください。
住民基本台帳法施行令(外国人住民の通称の住民票への記載等)第三〇条の二六 外国人住民は、住民票に通称(氏名以外の呼称であつて、国内における社会生活上通用していることその他の事由により居住関係の公証のために住民票に記載することが必要であると認められるものをいう。以下この条及び次条において同じ。)の記載を求めようとするときは、その者が記録されている住民基本台帳を備える市町村の市町村長(以下この条及び次条において「住所地市町村長」という。)に、通称として記載を求める呼称その他総務省令で定める事項を記載した申出書を提出するとともに、当該呼称が居住関係の公証のために住民票に記載されることが必要であることを証するに足りる資料を提示しなければならない。
登録したら変更は原則できない
通称名の変更は婚姻、養子縁組等の場合を除き、原則として変更できません。(総務省通達)
※参考 通称名を記載できる身分証明書
旧外国人登録制度の廃止に伴い、通称名の記載された身分証明書である旧外国人登録証も回収となります。代わりに交付となる在留カードや特別永住者証明書には通称名は記載されません。
これからも、自分の通称名を証明する機会がある場合は次の資料が現在も通称名を表記するものになります。
・運転免許証・・・都道府県公安委員会に記載の申出をし受理される必要があります。
・住民票・・・市区町村に申出をし、受理される必要があります。
・マイナンバーカード・・・市区町村に申出をし受理される必要があります。
通称名の記載は市区町村の判断だが難しい
以上のような手順を踏めば、通称名を住民票に記載することができます。ただし、今の流れとしては、通称名の新たな記載や変更は非常に難しいのが現状ですのでご承知置きください。
まずは、お住まいの市区町村役場へご相談することをお勧めします。