さて、今回は少しレアなケースですが、パスポートの二重発給が許される場合について紹介します。
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パスポートは1人1つ
パスポートは原則として、1人1つしか所持することができません。
虚偽の内容を申請書に記載してパスポートの二重発給を受けること、あるいは受けようとすることは旅券法違反となります。
ところが、正当な理由がある場合には二重発給が許される場合があります。詳しくは次項で紹介します。
旅券法第23条
(罰則)第23条 次の各号のいずれかに該当する者は、5年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。一 この法律に基づく申請又は請求に関する書類に虚偽の記載をすることその他不正の行為によつて当該申請又は請求に係る旅券又は渡航書の交付を受けた者
パスポートの二重発給が許される場合
なんと1人原則1つしか所持が許されないパスポートに例外が認められています。
旅券法第4条の2
(旅券の二重受給の禁止)第4条の2 旅券の発給を受けた者は、その旅券が有効な限り、重ねて旅券の発給を受けることができない。ただし、外務大臣又は領事官がその者の保護又は渡航の便宜のため特に必要があると認める場合は、この限りでない。
対立関係国(地域)渡航のためのパスポート
ご存知の方もいるかもしれませんが、歴史的な経緯からイスラエルの査証、入国印があるパスポートの所有者に対して一部のアラブ諸国(下記参照のこと。)が入国を認めない措置をとっています。
もし、イスラエルの査証や入国印がある場合にはそのパスポートを使って一部のアラブ諸国への渡航ができないことになります。
この時、特例が認められることになります。
イスラエルの査証や入国印があるパスポート所有者がイスラエルと対立する諸国へ渡航しようとする場合に「限定旅券」という行き先が限定されたパスポートの交付を受けることができます。
イスラエルと対立関係にあるアラブ諸国一覧
※対立関係国には変更がある場合がありますので、最新の対立国を知りたい場合は事前にパスポートセンターへ問い合わせましょう。
※イスラエルは上記の国の査証・入国印があっても入国拒否はしないようです。
イスラエルの査証・入国印 ⇒ ×アラブ諸国
アラブ諸国の査証・入国印 ⇒ ○イスラエル
参考 現在所有しているパスポートを新しく作り直す
上記のケースの場合、「限定旅券」を作る他に、お手持ちのパスポートを新しいものに作り替えてしまう方法もあります。
この方法の場合、どこのパスポート窓口でも対応していますし、パスポート交付まで要する期間が短くて済みます。
ただし、パスポート残存有効期間がまだ沢山ある場合には「限定旅券」の交付を申請した方が経済的でしょう。
限定旅券の申請方法
ここでは、「限定旅券」の申請方法について紹介します。
申請者
申請できるのは本人のみ
例外でパスポートの二重発給を申請するのですから、それを代理人に託すことは申請の性質になじまないでしょう。
問い合わせてから申請
まずは必ず申請する窓口に問い合わせてから申請しましょう。この「限定旅券」は特殊なケースなので事前に問い合わせることを強くおすすめします。
問い合わせ先
都道府県のパスポート発給拠点
※お住いの都道府県により異なりますが、パスポートセンター、旅券事務所本所、都道府県県庁国際課などがパスポート発給拠点になります。
※市町村が開設しているパスポート窓口では対応していないことが多いです。
必要書類
これは、問い合わせた時に何が必要になるか確認しておきましょう。
交付までに要する時間
この「限定旅券」については、都道府県ではなく外務省の判断が必要になるため、かなり時間がかかることが予想されます。
必要になる方は、早めに申請した方が良さそうです。
まとめ
いかがでしょうか?
今回はパスポートの二重発給が認められるケースについて紹介しました。
これは滅多に無い特殊なケースですので、必ず、申請前に問い合わせるようにしましょう。