特別養子縁組制度の年齢制限が引き上げへ

さて、今回は養子縁組制度のうちの特別養子縁組制度について法務省が変更の検討に入ったというトピックを紹介します。

養子縁組制度とは?

養子縁組制度は自分と嫡出子以外の子供との間に、親子と同一の関係を創設する身分契約のことです。

養子縁組をすることで、子供は養親の嫡出子としての身分を取得することができます。

養子縁組には「普通養子縁組」と「特別養子縁組」の2種類があります。

今回、変更の検討に入ったのはこのうちの特別養子縁組です。

普通養子縁組と特別養子縁組の違い

以下は普通養子縁組と特別養子縁組みの異なる点です。

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成立要件

普通養子縁組…当事者の縁組意思の合致と届出で成立(市区町村役場へ)

①養親となる者が成年に達していること
②尊属(親や祖父母など)または年長者は養子にできない
③配偶者のある者が未成年者を養子とするには夫婦が共同して縁組みをしなければならない
④未成年者を養子とするには家庭裁判所の許可が必要(自己または配偶者の直系卑属を養子とする場合には不要)

特別養子縁組…家庭裁判所の審判によって成立

①養親となる者は配偶者のある者であること
②養親となる夫婦は原則として共に25歳以上であること
③養子は原則として6歳未満であること

養子縁組後の氏(名字)

普通養子縁組

養子縁組成立後は養子の氏は養親の氏となります。ただし、養子が既に婚姻している場合には縁組前の氏のままとなります。

特別養子縁組

養子縁組成立後は養子の氏は養親の氏となります。

戸籍記載の違い

普通養子縁組

戸籍の父母欄には、実親と共に養親の氏名が記載されます。

特別養子縁組

戸籍の父母欄からは実親の氏名は消されてしまいます。そして、父母欄には実親として養父母の氏名が記載されます。(実親はおろか、縁組の事実さえ記載されません。)

実親との関係

普通養子縁組

養子縁組で養親との親族関係が創設されても、実親や親族との親族関係は続きます。

特別養子縁組

養子縁組が成立すると、実親や親族との親子関係は終了します。

養子離縁について

養子離縁は養子縁組を解消する制度です。

普通養子縁組

養親や養子の意思で自由に離縁することができます。

特別養子縁組

原則として離縁することはできません。ただし、虐待など一定の要件を満たした場合には、家庭裁判所の審判を経て離縁することもある。

特別養子縁組制度の変更を検討

今回、法務省が検討に入ったのは上記2つの養子縁組制度のうち「特別養子縁組」についてです。

以下は具体的な変更の検討に入った箇所です。

養子の対象年齢の引き上げ

現行法上では、養子となれる対象者は原則として6歳未満となっています。

しかし、今回、対象年齢を12歳もしくは15歳などへ引き上げることの検討に入りました。

民法改正前

養子となることができる者は原則として6歳未満

民法改正後(検討案)

養子となることができる者を12歳または15歳などへ引き上げ

実親の同意見の撤回

現行法上では、特別養子縁組の審判が成立するまでの間には実親が養子縁組を撤回することができます。

ちなみに、特別養子縁組が成立するまでには6ヶ月以上の試験養育期間があるため、縁組成立までには長い期間を要することとなります。

この間に、同意が撤回されてしまっては安心して養育できないなどの意見が上がっています。

そのため、今回は実親の同意撤回を制限する方向で法改正の検討に入りました。

民法改正前

縁組に同意した実親が縁組成立までなら同意を撤回することができる。

民法改正後(検討案)

同意見撤回のおそれがあると安心して養育を始められないとの声に配慮して実親の同意見を制限する。

まとめ

2014年と2015年の2年間で年齢制限や同意撤回により養子縁組を断念したケースは300件以上に上るとされています。

厚生労働省の有識者会議では、対象年齢の引き上げにより縁組を5年で倍増し、年間1000件以上の成立を目指すとの報告書をまとめています。

法改正により、子供たちの福祉が向上することを期待しましょう。

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