さて、今回は住民票や戸籍関係の証明書が第三者に交付された場合や不正取得が判明した場合に市区町村が本人に通知してくれる「本人通知制度」について紹介します。
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本人通知制度とは?
本人通知制度は、住民票の写しや戸籍謄本などが第三者に交付された場合や不正取得された場合に市区町村が本人にその事実を通知する制度です。
この制度を活用することにより住民票の写しや戸籍謄本の不正取得の早期発見や抑止に効果が期待されます。
ただし、この制度では不正取得や第三者交付の事実を通知してくれるだけで、不正取得や第三者交付そのものを防いでくれるわけではない点に注意が必要です。
この制度は、全国的に導入が進んでいます(※一部自治体は未導入)が制度の内容は市区町村によって異なる場合があります。
以下は、代表的な2つの本人通知制度の概要です。
登録型本人通知制度
「登録型本人通知制度」は事前に市区町村で利用登録申請をします。
登録された利用者に対して代理人と名乗るものや、債権者と名乗るものなどへ住民票の写しや戸籍謄本などが交付された場合には市区町村から通知が行く制度です。
※一部自治体では、登録をすることなくこの制度を運用している場合もあります。
告知型本人通知制度
「告知型本人通知制度」は事前に市区町村で利用登録申請をします。
登録された利用者に対して住民票の写しや戸籍謄本の不正取得が発覚した場合に通知が行く制度です。
「登録型本人通知制度」と異なる点は、第三者へ交付されただけでは通知されず、あくまで不正取得が発覚したという限られた条件を満たす場合に利用者へ通知がされるという点です。
対象となる証明書
- 住民票の写し(除票、改正原を含む)
- 住民票記載事項証明書
- 戸籍謄本又右派戸籍抄本(除籍、改正原を含む)
- 戸籍の附票の写し(除籍、改正原を含む)
- 戸籍記載証明書
※対象となる証明書は市区町村により異なる場合があります。
通知の内容
- 交付年月日
- 交付した証明書の種類(住民票の写し、戸籍謄本など)
- 交付した証明書の通数
- 交付した第三者の種別(第三者、代理人、※職務上請求)
交付した第三者の氏名等を知りたい場合は?
上記の通知内容を見ると、肝心の住民票の写し等の証明書を取得した者の氏名等を知ることができません。
その場合は、「保有個人情報の開示請求」をすることができます。(有料)
これにより通知内容よりも詳しい情報(証明書取得者等)を知ることができる場合があります。
ただし、保有個人情報の開示請求をする場合には自分が知りたい情報が開示されるかどうか市区町村の窓口職員へ予め相談することをおすすめします。
第三者とは?
第三者としては、例えば、代理人(委任状による取得など)や債権者(債権者が債務者の住民票等を取得することは法律上可能)としての取得する場合などです。
ただし、以下の請求者は第三者に当たらない点に注意が必要です。
- 住民票関連の証明書⇒本人又は本人と同一世帯に属する人
- 戸籍関連の証明書⇒本人、本人の配偶者、直系尊属(祖父母など)または直系卑属(孫など)
- 国又は地方公共団体の機関
- 弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士から紛争祖処理や不服申し立てなどの手続きの代理業務等としての証明書の請求
利用登録申請方法
必要書類等
- 本人通史制度登録申請書・・・市区町村の窓口に備え置いてあります。
- 本人確認書類・・・運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど
- 委任状(代理申請の場合)
- 代理人の本人確認書類(代理申請の場合)・・・運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど
申請先
申請先には注意が必要です!
「住民票関連の本人通知制度」と「戸籍関連の本人通知制度」とで異なります。
なぜならば、住民票のある(あった)市区町村と本籍のある(あった)市区町村が異なる場合があるからです。
住民票関連の本人通知制度の場合
戸籍関連の本人通知制度の場合
※郵送で登録を受け付けてくれる市区町村もあります。
手数料
手数料はほとんどの市区町村で無料
利用登録期間の満了・変更
市区町村によっては、利用登録期間(5年や3年など)を設けている場合もあります。
利用登録申請の時点で確認しておくようにしましょう。
また、住所、氏名、戸籍の内容等に変更が生じた場合には変更届の提出が必要な場合もあります。
まとめ
いかがでしょうか?
今回は「本人通知制度」について紹介しました。
自分の戸籍や住民票関連の証明書が第三者によって不正に取得された場合に気づくための有効な方法になります。
是非活用しましょう。