今回は、ドメスティックバイオレンス(以下DV)やストーカー被害に合っている方が自分の住民票を防ぐ方法を紹介します。
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DV、ストーカー行為等の被害者保護のための住民基本台帳事務における支援措置
とても長い名称です。
これは、DVやストーカー加害者が被害者の住民票等の証明書の請求や閲覧を制限する制度です。
成りすまし防止のため申請者本人からの交付請求以外は原則として拒否されます。
※債権者等からの請求には応じる場合があります。
ただし、こうした場合でも市区町村は支援措置対象者の個人情報が厳格な審査し、その上で交付する際にも注意喚起をするとのことです。
例)支援措置対象者のA子さんが、B社から多額の借金をしている場合
この場合、B社(債権者)はA子さん(債務者)の住民票を適法に請求することができます。(住民基本台帳法第12条の3)
例)国又は地方公共団体の機関による住民票等の請求(住民基本台帳法第12条の3)
警察が捜査の必要から、住民票を取得する(刑事訴訟法第172条の2)
支援措置の申し出ができる人
①配偶者等からの暴力による被害者(配偶者暴力防止法第1条2項)
暴力によりその生命及び身体に危害を受ける恐れがある場合です。
②ストーカー行為等の被害者(ストーカー規制法第7条)
反復してつきまといをされたりする恐れがある場合です。
③児童虐待の被害者(児童虐待防止法第2条)
④その他、上記に準ずる場合の被害者
また、以上に併せて、関係者の支援を同時に求めることもできる
例)母親とともに、その子供に危険が及ぶ可能性がある場合
母親と併せて、子供の支援措置も求めることができる
支援措置の流れ
①住所管轄の警察や、婦人センターに相談
②市区町村に「住民基本台帳事務における支援措置」の申出
③市区町村に支援措置の必要性の確認
④市区町村で支援を開始。同時に市区町村は関係市区町村に通知を出して前住所地や本籍地などでの保護を開始する
支援措置決定の用件
①裁判所から「保護命令決定書」が出ている場合
②警察から「ストーカー規制法に基づく警告等実施書面」が出ている場合
③警察、婦人センター、配偶者暴力相談支援船センターなどの関連機関が措置が必要と認めた場合
①②は希で、③の方が一番多いと思われます。
以上に該当しなくても、措置が実施できる場合もありますので、住所地市区町村に一度相談されるうことを強くお勧めします。
支援措置の申出先
住民票がある市区町村役場
※引越などで、住所が変わった場合は再度手続をする必要があります。
支援措置の期間
1年間・・・支援終了の1ヶ月まえから延長の手続きができる
支援措置の終了
①措置期間1年間が経過しても延長の手続がされない場合
措置期限が近づくと市区町村役場から終了する旨の通知が届きますので見落とさないように しましょう。また、期限がいつなのか日頃から意識しておく必要があります。
②市区町村内での転居→継続を求める場合は申出内容変更の申請が必要
③市区町村外への転出→新住所地で改めて申出書を提出
転入届をするタイミングで支援措置を開始できるように関係機関に相談するなどの準備を進めましょう。万が一に備え、切れ間の無い支援措置が大切です。
支援措置に必要なもの
住民基本台帳事務における支援措置申出書
これは、市区町村窓口の置いてあります。
ただ、警察署や相談センターなどの相談機関に「支援措置が必要と認定」をしてもらう予定の人は、予めこの書面をもらってから相談機関に出向きましょう。
保護命令書
裁判所から保護命令書が交付されている場合は必ず持って行きましょう。
ストーカー規制法に基づく警告等実施書面
警察からこのような書類が発行されている場合はこの書面も持って行きましょう。
申請者本人もしくは法定代理人の本人確認書類
運転免許証、パスポート、マイナンバーカード、障がい者手帳など顔写真が添付されている官公署が発行した身分証明書が必要です。
措置が実施されると
本人以外には原則として住民票や戸籍の附票は交付されない。また、住民票の閲覧制度においても、申請者の情報は除外される。(本籍地にも住所地から連絡が行きます。)
また、本人であっても申請時に持参した本人確認書類が無いと住民票や戸籍の附票の交付は拒否される場合があります。
おすすめすること
とにかく相談する
支援措置の対象になるかどうか不安な場合でも、市区町村に一度相談することを強くお勧めします。なんらかの対応策を提案してもらえる可能性が十分にあります。
担当職員を把握しておく
警察や、相談センター、市区町村には必ずDV・ストーカー等に対応する担当職員がいます。
「もしもの時はどなた当てにご連絡すればいいですか?」
と担当を把握しておくことが大切です。
支援措置の情報を他課とも共有してもらう
支援措置の申出をしたことを市区町村内の他の課にも周知してもらうように必ずお願いしてください。
※逗子市のストーカー殺人事件は、税務課の職員から被害者の住所が漏れてしまいました。
まとめ
いかがでしょうか?
DVやストーカー加害者から自分や自分の家族を守るためには、万全の準備をとる必要があります。少し面倒であっても、諸手続を怠らないようにしましょう。