さて、今回はネット経由の手続(電子申請)において各種紙証明書の添付が不要になるというニュースを紹介します。
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行政手続の電子化が進展
12月22日に「高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合戦略本部)・官民データ活用推進戦略会議合同会議」が開催されました。
そこで、安倍首相は今まで電子申請(ネット申請)で必要とされていた戸籍や登記に関する証明書などを撤廃することを目標した法案の提出・行政データのオープン化のためのガイドライン整備を指示しました。
民間試算によれば、行政のデジタル化によって国民の利便性向上、企業の効率化によって年間2兆円以上の効果があるとのことです。
今回は、特に電子申請の際に必要とされていた紙証明書の撤廃を主眼として紹介していきます。
行政手続から紙証明書添付を一括撤廃するのが目標
行政手続の種類は4万種類を超えます。
しかし、そのほとんどが電子申請で対応ができるであろうものばかりです。
政府としては、全行政手続のうち可能な限りの手続ネット経由で申請する電子申請で対応できるようにすることを目標としているようです。
今までは、電子申請をする場合であっても、紙の証明書等を申請先の行政官庁へ送付する必要がありました。
電子申請をするとしても、結局、紙の証明書等を関係行政庁から集める必要があり不便でした。
添付が必要とされていた紙証明書には住民票、戸籍謄本(抄本)や各種登記事項証明書、所得証明書などがあります。
電子申請をする場合、これらの紙証明書の添付を不要にするということです。
パスポートの電子申請(ネット申請)で戸籍謄本・抄本不要に
パスポートの発給手続については、戸籍謄本や戸籍抄本の提出が旅券法(※1)により義務づけられています。
しかし、電子申請でパスポートの発給を申請場合にはこれらの証明書の添付を省略することができるようになります。
今までは、わざわざ本籍地市区町村で戸籍謄本や戸籍抄本を取得してから提出する必要がありました。
(※1)旅券法
第3条 一般旅券の発給を受けようとする者は、外務省令で定めるところにより、次に掲げる書類及び写真を、国内においては都道府県に出頭の上都道府県知事を経由して外務大臣に、国外においては最寄りの領事館(領事館が設置されていない場合には、大使館又は公使館。以下同じ。)に出頭の上領事官(領事館の長をいう。以下同じ。)に提出して、一般旅券の発給を申請しなければならない。ただし、国内において申請する場合において、急を要し、かつ、都道府県知事又は外務大臣がその必要を認めるときは、直接外務省に出頭の上外務大臣に提出することができる。一 一般旅券発給申請書二 戸籍謄本又は戸籍抄本三 申請者の写真四 渡航先の官憲が発給した入国に関する許可証、証明書、通知書等を申請書に添付することを必要とされる者にあつては、その書類五 前各号に掲げるものを除くほか、渡航先及び渡航目的によつて特に必要とされる書類六 その他参考となる書類を有する者にあつては、その書類
マイナンバー制度と電子申請
各種紙証明書を必要とすることなく電子申請で手続を行うためには、以下の2点を要件を満たす必要があります。
①マイナンバーと必要とされる証明書の情報が結びつけられていること
例えば、県庁でパスポートの発給申請を行うためには、現在では戸籍謄本もしくは戸籍抄本の提出が必要です。
しかし、マイナンバーと市区町村役場が管理する戸籍情報とが結びつけられていれば、県庁のパスポート担当者は市区町村の戸籍情報を手続に使用することができるのです。
逆に言えば、マイナンバーと必要とされる情報の結びつけがされていないと、申請先の行政庁は証明書情報を利用することができません。
マイナンバーと戸籍の結びつけの現状
ここでは、様々な情報のうち戸籍とマイナンバーの結びつけの状況について紹介します。
平成29年12月現在では、マイナンバーと戸籍が結びつけられている自治体はありません。
しかし、法務省では平成30年の戸籍法改正により戸籍とマイナンバーをヒモ付けすることを予定しています。(以下のページ参照のこと)
②私たちがマイナンバーカード(個人番号カード)を所持していること
電子申請で各種紙証明書の添付を撤廃するためには、マイナンバーの活用が必要になります。
電子申請の際に、各種紙証明書(住民票、戸籍、各種登記事項証明書、各種税務証明など)情報はマイナンバーカードを用いた認証が必要とされます。
この認証により、電子申請上の本人確認がされることとなり、私たちの情報の不正利用や漏洩を防ぐこととなります。
※電子申請をするためには、マイナンバーカードに「署名用電子証明書」を搭載している必要があります。
⇒マイナンバーカード(個人番号カード)の作り方(内部リンク)
「マイナンバーカード(個人番号カード)」
まとめ
いかがでしょうか?
今回は、ネット経由の手続(電子申請)において各種紙証明書の添付が不要になるというニュースを紹介しました。
これにより、私たちの利便性向上・民間企業の業務効率化、行政のペーパーレス化が進むこととなります。
一方で、情報の不正利用や漏洩への対策等は政府が今後取りまとめるるガイドライン等を注視する必要がありそうです。