さて、今回は誰が住民票を取得できるかどうかについて紹介したいと思います。
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親が子供の住民票をとることはできるか?
親が子供の住民票をとるには原則として、
①同じ住所②同じ世帯
の2つ両方とも満たす必要があります。
次のようなケースは親は子供の住民票をとることができるでしょうか?
Q1)
住所は「埼玉県さいたま市大宮区桜木町1丁目123番地」
世帯は「世帯主」「妻」「子」で構成される
このとき「世帯主」や「妻」は「子」の住民票をとることができるか?
A1)○
答えは取得することができます。
上の①同じ住所②同じ世帯を両方とも満たすからです。
※このケースでは「子」が「世帯主」や「妻」の住民票をとることもできます。
なので、
「学校の帰りに市役所で住民票とってきて!」
とお母さんが子供に頼めば、子供もお母さんの住民票を取得することができるのです。
Q2)
親の住所が「千葉県千葉市中央区中央1丁目2番3号」
子供の住所が「東京都渋谷区渋谷1丁目2番3号」
このとき親は子供の住民票をとることができるか?
A2)×
答えは取得することができません。
なぜなら、親と子供の住所が違っているためです。
※ただし、子供が未成年である場合には親権者である親は子供の住民票を取得することができます。
Q3)
親の住所が「山梨県山梨市小原西123番地 ベルメゾン102号」
子供の住所が「山梨県山梨市小原西123番地 ベルメゾン103号」
この場合、親は子供の住民票をとれるか?
A3)×
これも、取得することはできません。
同じアパートでも部屋番号が違っているので同じ住所とは言えません。
Q4)
住所は「神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央1丁目1番1号」で2世帯同居
「世帯主(父)」「妻(母)」
「世帯主(長男)」「妻(嫁)」
この場合「母」は「長男」の住民票をとることはできるか?
A4)×
答えは、取得することはできません。
なぜなら、親と子それぞれの夫妻がそれぞれ別の世帯を作っているので、
たとえ同居であっても、同じ世帯で無いので母は長男の住民票をとることはできません。、
代理人に住民票をとってもらうには?
誰かの住民票をとるには、
①同じ住所
②同じ世帯
である必要があるということがわかっていただけたかと思います。
親子であっても別住所の場合は住民票をとることができない場合もよくあることなのです。
しかし、このような制約があると、勤労者は平日は休めないので役所で手続きをとることができません。
そこで代理人に住民票の取得を依頼することができることになっています。
具体的には主に次の場合です。
法律の専門職の人に依頼する
業界では俗に「八業士(はちぎょうし)」と呼ばれる法律の有資格者は
依頼者の住民票や戸籍謄抄本を職権で取得することができます。
ただし、これは飽くまで職務を遂行するために必要な範囲でです。取得理由が不適当な場合は市区町村に申請を拒否されることもあります。
ちなみに「八業士」とは
弁護士、司法書士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、土地家屋調査士
行政書士、海事代理士 です。
例えば、裁判を起こすには相手方の住民票が必要になるので、弁護士が相手方の住民票を取得することができたりします。
代理人に委任状(代理人選任届)を持たせて取得してもらう
これは、「私が○○さんに、私の住民票を取得することを委任します。」
といった内容の委任状や代理人選任届を代理人に持たせれば自分の住民票の取得を 他人に依頼することができます。
ですので、友達などにも住民票の依頼をすることができます。
委任状(代理人選任届)の書式は最寄りの市区町村役場に備えられていますし、ウェブ上にもたくさんあります。
私も、委任状の様式を後ほどアップロードしておこうと思いますのでご活用ください。
ここで、感のいい人はすぐに気づいたでしょうが、委任状を偽造すれば他人の住民票を自由に取得することができるということに・・・・でもこれは犯罪になりますので絶対にしないようにしてくださいね(有印私文書偽造などの罪に問われます。)
まとめ
親が子供の住民票をとろうと思ったときは、子供が
①同じ住所、②同じ世帯
である必要があります。
(※ただし、子供が未成年の場合は親権者は取得できる。)
また、別住所や別世帯の場合でも委任状があれば他人に住民票の取得依頼をすることができます。
実は、上で書いたような親権者のケースなど、
もう少し特別なケースもあるのですが、それについてはもう少し後で紹介したいと思います。
コメント
同居している息子(世帯は親と別れています)が嫁からDVで訴えられています。現在、どこにいるのかわからないので、嫁の住民票を親が取ることは出来ますか。
>匿名さん(※お名前はプライバシーの都合上非公表にさせていただきました。)
ご質問ありがとうございます。
住民基本台帳法第12条によれば、
「住民基本台帳に記録されている者は、その者が記録されている住民基本台帳を備える市町村の市町村長に対し、自己又は自己と同一の世帯に属する者に係る住民票の写し(第六条第三項の規定により磁気ディスクをもつて住民票を調製している市町村にあつては、当該住民票に記録されている事項を記載した書類。以下同じ。)又は住民票に記載をした事項に関する証明書(以下「住民票記載事項証明書」という。)の交付を請求することができる。」とあります。
結論としては、法令上、質問者様は別住所(あるいは別世帯)のお嫁さんの住民票を取得することは原則としてできません。