今回は、前回に引き続き少しマニアックな証明書ですが、「不在住証明書」や「不在籍証明書」について紹介します。
Contents
不在住証明書とは?
不在住証明書は、申請日現在において、申請された住所と氏名が一致する住民票、除票、改製原住民票(作り替える前の住民票)が存在しないことを証明するものです。
ただし、住民票、除票、改製原住民票にいずれかが存在する場合は証明を受けることができません。
不在籍証明書とは?
不在籍証明書は、申請日現在において、申請された住所や氏名が一致する戸籍、除籍、改製原戸籍が存在しないことをしょうめいするものです。
ただし、戸籍、除籍、改製原戸籍のいずれか1つでも存在すると、証明を受けることができません。
不在住証明書、不在籍証明書の使用用途
不動産などの登記においては、登記名義人(≓所有者)の「住所」「氏名」を登録します。
もし、住所に変更があった場合は、法務局に変更の届出をします。
ところが、住所の変更の届出が10年とか20年とかかなり前のものになってくると、変更があったことを証明する疎明資料が存在しないことがよくあります。(※1)
この場合、苦肉の策として、登記上の住所に登記名義人が住んでいないという証明をすることになるのです。(=反対証明ということもある)
この時、法務局に提出するよう言われるのが「不在住・不在籍証明書」です。(※2)
法務局では、「登記上の住所に住んでいた事実が確認できない。ということは住所の変更があったんでしょうね。」ということになります。
(※1)住所の変更を証明するには、住民票や戸籍の附票などです。ところがこれらは、除票になってから概ね5年で保存期間経過で廃棄処分されます。
(※2)住所の証明なのにどうして不在籍証明書(戸籍に関する証明)が必要なのかと疑問に感じる方がいるかもしれません。これは、不確かなのですが、かなり昔に登記された内容は住所と戸籍の区別が曖昧な時代のものがあったからという見解があります。
行政証明としての不在住証明書、不在籍証明書
「不在住証明書」、「不在籍証明書」は法律に根拠の無い証明書です。
どういうことかと言いますと、これは、古くから慣例として各市区町村が証明している行政証明というものなのです。
行政証明には「印鑑証明書」や「身分証明書」など様々な証明書があります。
不在住証明書・不在籍証明書の取り方
申請先
登記名義人の住所地市区町村役場
(そこの市区町村に住所を置いていないと証明したい市区町村役場)
申請に必要なもの
申請書
申請書は窓口に備えてあります。職員に「不在住証明書」、「不在籍証明書」、「不在住・不在籍証明書(不在住証明書と不在籍証明書が一体となったもの)」のどれが必要か伝えましょう。
本人確認書類 ※提示を求めない自治体もあるようです
運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど
印鑑
認印で構いませんが、シャチハタは控えましょう。
手数料
手数料は市区町村により異なります。1通300円前後のところが多いように思います。
注意事項
該当者の住所(もしくは本籍)と氏名は申請者自身が記入するので、予め窓口で記入できるようにメモ帳などに記入していくといいと思います。
また、記載する氏名や住所は登記簿に記載されているものと完全に一致するようにしてください。
◇気をつけたい表記例◇
例1)住所の表記
○東京都小金井市本町六-6-3・・・ハイフォン表記するかどうか
○東京都小金井市本町六丁目6番3号
東京都日野市神明一丁目12番地の1・・・「の」の有無
東京都西多摩郡瑞穂町大字箱根ヶ崎2335番地・・・大字の有無
例2)氏名の表記
漢字は登記事項証明書の通りに!
サイトウさんのサイの字・・・齊、齋、斎、斉など
ワタナベさんのナベの字・・・辺、邊、邉など
まとめ
いかがでしょうか?
今回は、「不在住証明書」「不在籍証明書」について紹介しました。
皆さんが、上記の証明書が必要になるのは、法務局での手続きがほとんどだと思います。
必要になったときは、参考にしてみてください。